理事長あいさつ

理事長 山口 寛

 日本文化財保護協会は、埋蔵文化財の発掘調査、出土遺物や堆積物などの科学分析、歴史的建造物や記念物、出土品などの修復・復元・保存などの業務に携わる民間の埋蔵文化財調査機関が集結して設立された我が国初の民間調査組織です。全国組織として 2004 年(平成 16 年)に発足し、2010 年(平成22 年)に内閣府より公益社団法人の認定を受け、埋蔵文化財に関わる様々な公益事業を積極的に継続しております。

 国民の共有財産である埋蔵文化財の保護に必要な技術力や専門性を育成向上するために民間調査機関が自発的に結成した協会であり、文化財保護に関する調査、研究を通じて埋蔵文化財調査事業の健全な発展を図り、もってわが国の文化芸術振興に寄与することを目的としています。

 当協会は、独自で整備した「埋蔵文化財調査士・調査士補等の資格制度」の普及を進め、これまでに埋蔵文化財調査士は延べ 453 名以上(2025 年 8 月時点)、同調査士補は延べ 489 名以上(同)を輩出し、更にはCPD(継続教育)制度を実施し、専門技術者の技術力の向上・育成に努めております。

 2019 年(平成 31 年)に改正された文化財保護法では、これからの時代に相応しい文化財の継承のための方策として、「総合的な視野に立った地域における文化財の保存・活用の推進強化」が示されています。また国のデジタル化推進の方針に則り、埋蔵文化財事業においても、デジタル技術等の積極的な活用による省力化や工期短縮、コスト削減が期待されています。当協会はそれら国の方針を理解・共感し、これまで会員各社が培った業務実績や技術力、最新技術への取り組み等を活かし、国の方針の実現に向けて努力してまいりました。お陰様で令和6年度は以下のような大きな出来事が続き、当協会にとりまして"飛躍の一年"となりました。

・災害対策を目的とした大規模開発事業に伴う発掘調査業務を随意契約で受託。

・文化庁主催の埋蔵文化財事業のデジタル化、省力化に関する検討会等への参加。

・行政、教育機関など外部有識者と協会会員で構成する「DX 推進委員会」を設立。

 それらの活動を通じ、今後とも「行政の良きパートナー」となるべく関係省庁並びに都道府県、市町村の皆様方との更なる連携強化に努め、我が国の文化財事業の発展と地方創生を目指し、民間企業母体の公益社団法人としての責務を果たしてまいる所存です。皆様には引き続きのご指導、ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

令和7年 8 月
公益社団法人日本文化財保護協会
理事長 山口 寛



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