協会では、能登地震復興支援の趣旨から、石川県教育委員会の後援を得て、石川県及び県下市町村の埋蔵御文化財担当を対象とした下記の技術研修を開催することになりました。
本研修は会員企業の皆様や埋蔵文化財調査士・調査士補の皆様にもCPD対象研修として受講いただけます。
本研修は、開催地での参加だけでなく、初日前半の講習はZoom参加も可能ですので、ぜひ下記申込フォームからお申込みいただけますようご案内申し上げます。
技術研修 「デジタル時代の遺跡踏査ー効率化・高次化・安全確保の実践―」
主催 公益社団法人日本文化財保護協会
後援 石川県教育委員会
日時 令和8年1月26日(月)13時~ 講習会、ワークショップ
1月27日(火)10時~ 現地実習(志賀町)
講師 高田祐一(国立文化財機構奈良文化財研究所文化財情報研究室 主任研究員)
場所 講習 会 :石川県地場産業振興センター新館 第12研修室(金沢市鞍月2-20)
現地実習:志賀町千浦二子塚古墳群(予定)
プログラム
1月26日(月)
12:30 受付開始
13:00 講習会「デジタル時代の遺跡踏査」
15:00 ワークショップ「航空レーザー点群・立体地図・GISを利用したデジタル機器・データ作成実習」
17:00 終了
1月27日(火)
10:00~15:00現地実習(志賀町千浦二子塚古墳群)
※荒天時は変更する場合があります
申込 Googleフォームよりお申込みください。
〆切:令和8年1月13日(火)17時まで
https://forms.gle/xDBkhm8v9L6jKVqU7
備考
・お申込みいただいた方にはメールにて、詳細プログラム(持参PC案内等)をお送りいたします。
・初日前半の講習会はZoomによるオンライン形式での参加も受け付けています。
・また、初日だけの参加も受け付けております。
・2日目の現地実習は、荒天時、変更する場合があります。
研修趣旨
国土地理院や各都道府県が公開する高解像度地形データ(DEM)と立体地図を用いた古墳や城郭の発見が相次いでいます。
その有効性については奈良文化財研究所『遺跡踏査とデジタル技術』(科研費「新しい遺跡を発見する:機械学習による自動地形判読手法の開発」成果)で検証されています。
文化庁も「既存の航空レーザー測量データを用いた埋蔵文化財の把握に係る利用マニュアル」を整備しており、既に鳥取県などで遺跡分布の事前把握に活用されています。
日本文化財保護協会では、国土交通省から能登半島の詳細な航空レーザー点群データと赤色立体地図の提供を受け、これを能登半島地震の復興事業による埋蔵文化財調査の事前準備に活用するための取り組みを企画しました。
具体的には、以下のような手順を計画しています。
・航空レーザー点群データ・赤色立体地図の画像解析による古墳・山岳寺院・城郭等の検出
・上記成果を石川県提供の遺跡地図データと重ね合わせ、未発見・未登録遺跡の可能性ある地点を特定
・画像解析と遺跡地図データの検証結果をスマートフォン・タブレットなどの携帯端末に取り込み野外現地踏査に利用する。
その際に高精度GNSS(GPS)位置情報によりデータと現地の精確な位置合わせを可能にする
・現地踏査により認識された遺構・遺跡をスマートフォンやデジタルカメラを迅速な3D計測により記録、高精度GNSS(GPS)により位置情報も付与する
・踏査結果をGIS上で整理し、即時的に遺跡地図への反映を可能とする
この手順により、広域を対象とした埋蔵文化財の事前把握について、高解像度地形データと立体地図により可能性の高い範囲を予め絞り込み、そこに現地踏査を集中させることで客観性を高め効率化することが可能になります。
もちろん全ての埋蔵文化財をこの手法で把握できるわけではありませんが、一定の割合について事前把握が進むことにより、人員やスケジュールなどの配分が容易になります。
今後、復興事業の本格化に伴い照会・調査件数の増加が見込まれる能登半島の埋蔵文化財の事前把握について、文化庁がマニュアルで推奨している方法にもとづく取り組み構築を支援することで、公益社団法人として文化財保護に貢献することを目指します。